塩見裕子ヴァイオリン教室
楽器を弾く前に
1- 楽器と仲良く
楽器を持つ前に、軽い体操やストレッチ、深呼吸をお勧めします。
体の力みが取れると、音に集中しやすくなります。
関節や指の柔軟性は、ボーイングやビブラートにとっても大切です。
柔軟性を高め深い呼吸に導くには、ヨガはとても効果的です。
頭は上に、足の裏は地面に引っ張られるイメージで立ちます。
楽器を持つ左腕は、肘から先をねじるのではなく、肩甲骨とつながっていることを意識します。
楽器は左鎖骨の上に、顎が顎あてにフィットするように軽くはさみます。
肩は持ち上げず、体にフィットする顎あてと肩当てで、楽器との隙間を調整します。
肩当は様々なものが販売されていますが、特にお子さまの場合、楽器についている顎あてが合わず、持
ち方でつまずかれることがあります。
子供用の楽器の多くそろっているお店で、いくつかのタイプの顎あてを付け替え試させてもらえると、ぴ
ったりフィットするものが見つかるかもしれません。
弓は、中3本指が均等な幅で第1関節に吸い付くように、親指は弓の下からフロックに接するように支え、
小指は突っ張らないよう関節に丸みを持たせて置きます。
弓も楽器もあるべき位置に収まると、楽に弾けるようになります。
長く弾き続けるためにも、奥歯は嚙みしめないよう習慣づけることをおすすめします。
楽器を構える時、舌先を上顎に軽くつけ、奥歯の間に少し隙間をあけることをお試しください。
2- 左手の構え方
親指と人差し指が、まるで洗濯バサミのように、つけ根が真っ赤になるほど圧力をかけていませんか。
こうなると全身に力が入り、硬いギシギシした音になってしまいます。
顎と親指と人差し指の3点で良いバランスが取れると、どこにも無理がかからず、楽器が体になじむように
なります。
楽器を持つ前に、左指先を左肩の上に乗せ、肘を肩甲骨からぐるぐる回し、体の中心で指先をふわっと前に
解き放つように伸ばしてみましょう。 この構え方で、楽器を持ちます。
左4指を同一弦上に、ソフトボールを握るようにふわっと乗せてみます。
このとき手首は突き出さず、前腕から直線になるようネックに近づけることで、指先に腕の重みが加わわ
り、楽に動かすことができます。
指板から指を離すときは、パーの指に開かないで、最初のふわっとした形をキープするよう心がけましょう。
移弦では、両腕は連動して、それぞれの弦の位置に動きます。左腕の移弦の仕方には、1-楽器と仲良く の
動きが有効です。
3- 良い音を出すために
歌う時と同じで、深い呼吸ができていると、良い音が出ます。楽器を弾く前後の軽い体操を心がけてくださ
い。
ヴァイオリンは、弾いているうちに楽器が振動して、よく鳴るようになります。
良い音程、音質で弾くことでも、楽器は良く鳴るよう育っていきます。
ここで、正しい音程の場所の探し方をお伝えします。
隣あう弦の同音・・・
G線の開放弦(0)と、D線 3のソ を合わせてみましょう。
2弦を同時に弾いた時、濁りのない、はっきり強い ソ が鳴る位置が、正しい3の場所です。
D線 3 を単独で弾いたとき、音程が合っていれば、弓で弾いていないG線が共鳴して大きく振
動するのが、目で見てもわかります。
このように、3指は、左隣の開放弦と合わせ、正しい場所を覚えます。
4指は、右隣の解放弦(0)と同じ音です。 同時に鳴らしてみて、正しい位置を探しましょう。
次は1指です。
G線の1は A線 開放弦と、D線の1は E線 開放弦と、同じ音のする場所を探します。
これらは隣り合わないので、同時に鳴らすことはできませんが、良い響きがすると同時に、目でも共振して
いる場所を見つけましょう。
1指は、右隣の開放弦と同時に重音で鳴らして、きれいにハモる場所で見つけることもできます。
開放弦にある音 ソ レ ラ ミ は、何オクターブ上にあっても、正しい音程で弾くと、同じ音の開放
弦がはっきり共鳴するのがわかります。
指板上には、このように楽器が共鳴しやすいポイントがたくさんあります。
色々な重音では、共鳴するポイントが、よりたくさん見つかります。
よりよい音程になるよう、響きをよく聞きつつ練習しましょう。
4- 楽器の扱い方
楽器のニスを保つためにも、楽器本体ではなく、ネック(棹)や顎あてなど、付属品部分を触るように心がけ
てください。
弓先はとてもデリケートですから、ぶつけて折れることのないよう、周囲に気を配りましょう。
駒は、温度、湿度、弦のゆるみ方の違いで、簡単に傾いたりゆがみ、音色に影響します。
駒の位置をこまめに確認する習慣をつけましょう。
楽器を目の高さに水平に持ち、左ま横から見て、駒の右側面が表板と直角に立っていること、ま上から見
て、ゆがまず一直線に見えていれば大丈夫です。
駒が正しく立っていないと、楽器の鳴りは悪くなりますが、直す力加減は、経験が必要です。
先生や楽器店にお尋ねください。
練習後、楽器と弓についた松ヤニの粉は、専用クロスで軽くなでるように拭き取ります。
布は、拭き取り用と磨き用と分け、こまめなお洗濯を忘れないでください。
クリーナーの使用は極力控えたほうが、楽器本来のニスを保つことができます。
お掃除をすると、響きがみずみずしくなるのがわかります。
弦と弓の毛の交換は定期的に、大事な演奏時には、1週間ほどの余裕をもって行ってください。